この記事ではブラインドサッカーの「チームファール」と「パーソナルファール」との違いについて解説します。
東京パラリンピックで行われているブラインドサッカー。
試合中の実況や解説で「チームファール」と「パーソナルファール」の2種類のファールが出てきているのに気付いた人もいるのではないのでしょうか?
この「チームファール」と「パーソナルファール」はどのようなもので、違いは何なのでしょうか?解説していきます。
チームファールとパーソナルファールの違いは?
チームファールとパーソナルファールの大まかな違いを表にまとめました。
(FK:フリーキック、PK:ペナルティキック)
チームファール | パーソナルファール | |
累積対象 | チーム | 個人 |
累積の影響 | 6回目以降から 第2PK |
5回目で退場 |
与えるFK | 直接FK | 間接FK |
反則の種類 | 相手に危害を加える行為 | ルールを破る行為全般 |
「チームファール」は「パーソナルファール」よりも危険性が高い分ペナルティが大きく、相手チームに大きなチャンスを与えることになります。
よって「チームファール」はゲームの展開を大きく左右することになります。
それぞれのファールについて詳しく見ていきましょう。
ブラインドサッカーのチームファールとは?
まずは「チームファール」について詳しく解説します。
チームファールの概要
ブラインドサッカーの「チームファール」とは別名「累積ファール」とも呼ばれます。
「チームファール」を犯す度に回数が累積されていき、前半・後半それぞれ5回目までは相手チームに「直接フリーキック」が与えられます。
チームファールが6回以上累積されると、チームファールが犯される度に相手チームに「第2ペナルティーキック」が与えられるようになります。
チームファールを犯した場所が自陣のペナルティエリア内だった場合、累積数に関わらず相手チームに「ペナルティキック」が与えられます。
直接フリーキックと間接フリーキック
- 直接フリーキック:蹴ったボールが誰にも触れずゴールに入っても得点が入る
- 間接フリーキック:蹴ったボールが誰かに触れてからゴールに入らないと得点にならない
通常のペナルティキックよりも遠い場所からのペナルティキック。
- 通常のペナルティキック:ゴールから6m離れた所から蹴る
- 第2ペナルティキック:ゴールから8m離れた所から蹴る
チームファールに該当する反則行為
チームファールに該当する反則行為は、相手チームの競技者に危害を加えるような行為が該当します。
具体的には次のような行為がチームファールとなります。
- 相手競技者をける、またはけろうとする。
- 相手競技者をつまずかせる。
- 相手競技者に飛びかかる。
- 相手競技者にチャージする。
- 相手競技者を打つ、または打とうとする。
- 相手競技者を押す。
- 相手競技者にタックルする。
- 頭を下げてボールをプレーする、タックルする、またはボールを探す
- 相手競技者を押さえる。
- 相手競技者につばを吐く。
- 相手競技者にスライディングタックルをする。
直接危害を加える以外にも、次のような行為もチームファールとなります。
- ボールを意図的に手、または腕で扱う(ゴールキーパーが自分のゴールキーパーエリア内にあるボールを扱う場合を除く)。
- ボールを探したり、タックルしたりするときに、ボール保持者が相手競技者を避けるため方向を変えられるように、「ボイ」、「ゴー」、もしくはそれに類する言葉を明確に、 聞き取れるように言わない。
参照:ブラインドサッカー競技規則2017-2021_ver4
最後の「ボイ」や「ゴー」を言わないという反則行為はブラインドサッカー独特のファールです。
ボールをドリブルしている選手にディフェンスの存在を知らせ、危険な衝突を避けるためにこの言葉を発するルールとなっています。
ちなみに「ボイ(Voy)」とはスペイン語で「行く」という意味です。
ブラインドサッカーのパーソナルファールとは?
次に「パーソナルファール」について解説します。
パーソナルファールの概要
パーソナルファールはそれぞれの選手ごとに累積されていき、5回パーソナルファールを行うとその試合から退場となります。
通常のサッカーの場合は選手が退場するとコート上でプレイできる人数が減ってしまいます。
一方ブラインドサッカーでは人数は減らず、退場した選手の代わりに別の選手が入ることができます。
パーソナルファールが犯されると相手チームに「間接フリーキック」が与えられます。
パーソナルファールを犯した場所が自陣のペナルティエリア内だった場合は、「チームファール」と同様に相手チームに「ペナルティキック」が与えられます。
パーソナルファールに該当する反則行為
パーソナルファールに該当する行為は、相手選手に直接危害を加えるような行為でなくとも、定められたルールに違反する行為全般が該当します。
具体的には次のような行為がパーソナルファールに該当します。
ゴールキーパーのパーソナルファール行為
- ボールを放した後、ボールがハーフウェーラインを越える前に、もしくは、相手競技者がプレー、または触れていないにもかかわらず、味方競技者からボールを受ける。
- 味方競技者によって意図的にゴールキーパーにキックされたボールを直接、手で触れる、もしくはコントロールする。
- 味方競技者がキックインしたボールを直接、手で触れる、もしくはコントロールする。
コート上の競技者のパーソナルファール行為
- 危険な方法でプレーする。
- ゴールキーパーがボールを手から放すのを妨げる。
- プレー中、またはボールにプレーしようとしている時、相手競技者より有利になるよ うフェンスを両手でつかむ。
- 相手競技者の進行を妨げる(オブストラクション)。
- フェンス際で相手競技者に対して、味方競技者とともに積極的にブロックする(サンドイッチ)。
- 相手競技者に触れることなく、相手競技者より有利になるようピッチ面に横たわってボールをプレーする。
- 相手競技者の方向感覚を失わせる、惑わすような言葉や音を発する。
- 試合中に故意に沈黙を破る。
- ボールがインプレー中に主審・第2審判の許可なしに、光覚を利用するために、アイマスクやアイパッチを意図的に触る。
- ボールを保持してから、40 秒間、明らかに攻撃しない。
- これまでに規定されていないもので、競技者を警告する、または退場を命じるためにプレーを停止することになる違反を犯す。
参照:ブラインドサッカー競技規則2017-2021_ver4
ブラインドサッカーのチームファールとパーソナルファールまとめ
「チームファール」は主に相手選手に危害を加えるような反則行為で、チーム全体で前後半それぞれ6回以上累積すると毎回相手チームに「第2ペナルティキック」のチャンスを与えます。
それに対して「パーソナルファール」は主にルール全般に違反する反則行為で、個人で5回累積すると退場となります。
「チームファール」は特に試合の展開を大きく左右することになり、試合後半からの逆転劇が起こり得ます。
試合中は「チームファール」の累積数にも注目してみてください。